耳をすませばは田中圭の名演とラストシーンが見どころ

映画・ドラマ

 大ヒットしたジブリ作品『耳をすませば』の実写版が2022年に公開されました。

この記事では、『耳をすませば WHISPER OF THE HEART』の見どころと、少し残念だったところをまとめています。

できる限りネタバレしないように書いていますので、観ようか迷っている方は是非参考にしていただければと思います。

ジブリ版『耳をすませば』の内容を知っていることを前提にしています。ご了承ください。

1989年に少女まんが雑誌『りぼん』で連載された不朽の名作『耳をすませば』。

1995年にはアニメーション映画が公開され、今なお色褪せない青春映画の金字塔として、歴史に刻まれています。

そして2022年、完全オリジナルの10年後の物語も加わって、実写映画化。

大人になった月島雫を清野菜名が、天沢聖司を松坂桃李がW主演で演じます。

映画『耳をすませば』公式サイト

耳をすませば実写版の見どころ

 実写版『耳をすませば』では、ジブリ版の10年後が描かれています。

思い出の回想シーンを挟みながら物語は展開していきます。

 

25歳の雫は出版社に勤めながら作家を目指していますが、文学コンクールには落選続きで、作家担当編集としての仕事もうまくいっていません。

一方、聖司はプロのチェリストになる夢を叶え、イタリアで活動しています。

(ジブリ版の聖司の夢はヴァイオリン職人でした。) 

雫は夢を実現して外国で活躍する聖司との距離を感じるとともに、結果の出ない夢をいつまでも追いかけるべきかどうか悩みます。

 

それでは、ネタバレしないよう本筋にはできるだけ触れず、作品の見どころについて解説していきます。
 

田中圭の名演

 田中圭は雫が担当編集を務める作家である園村真琴を演じました。

言葉を選びながらたどたどしく話す園村は一見気が弱そうですが、作品づくりに対しては強い想いを秘めた人物です。

登場シーンは3回のみでしたが、雫の物語のキーマンとなる重要な役柄です。

  

特に1回目の登場シーンで、自分の作品について雫の意見を求める場面での園村の表情が絶妙でした。

建前の丁寧な言葉と心の内に差があることを、表情だけで上手く表現していました。

田中圭はコミカルな役回りのイメージが強かったのですが、園村のような繊細なキャラクターも巧みに表現できることに感服しました。 

 

ラストシーン

 ジブリ版『耳をすませば』のラストシーンは青春ラブストーリー屈指の名シーンです。

10年後を描く実写版では、その名シーンをなぞるようなラストになっています。

   

ジブリ版の大ファンの方々がどのように受け取るか分かりませんが、私にとっては丁度いいオマージュ感があり、素敵でした。

実写化されると抽象度が薄まって、2次元では許されたセリフやシーンがクサく見えてしまいがちですが、このラストシーンに関しては素直に受け入れられました。

清野菜名さんのビジュアルが雫にぴったりハマっていたのも良かったのかもしれません。 

 

何といっても1998年という映画の時代設定が素敵ですね。

この頃は携帯電話の普及率は30%台で、今のようにスマホで手軽に連絡を取り合うことはできませんでした。

だからこそラストの「奇跡だ、また会えた!」のようなドラマチックなシーンが成立します。

今だったらLINE1通で済んでしまいますからね。 

 

映画の前半は回想シーンが多く停滞を感じましたが、中盤からは現在の物語が中心に展開していきます。

ジブリ版をもう一度見返したくなるような、素敵なラストシーンでした。 

 

勇気をくれるメッセージ

 ジブリ版では夢をもつこと、夢中になることの素晴らしさを描かれていました。

実写版は自分の心に正直になることの大切さを伝えてくれます。

 

大人になると現実と折り合いをつけるうちに、自分が本当はどうしたいのか段々と分からなくなっていきます。

雫はそんな自分の状態を「心の音が聞こえなくなった」と表現します。

 

自分がどうしたいか「答えは心の中にある」と聖司のおじいさんは言います。

迷った時こそ、自分の心の声を聞く時間が必要です。

まさに題名の通り、心の囁きに耳をすませば、ですね。

 

また、現実に生きる大人たちの夢のとらえ方についての示唆があります。

それは「夢は年齢とともに形を変えていくものだ」ということです。

たとえ子どもの頃の夢と違っても、今の自分が本気になれるなら、それでいいのです。

自分の心に正直でいよう今の自分の夢を追い求めようと、私たちを勇気づけるメッセージが込められた温かい映画作品です。

 

完全な余談ですが、何となくの連想でYOASOBIの群青を思い出しました。

自分の気持ちに正直になって何かに夢中になることは、大人になってもできるはず。自分次第ですね。

知らず知らず隠してた 本当の声を聞かせてよほら

見ないふりしていても 確かにそこにある

群青(YOASOBI)

 

耳をすませば実写版の残念だったところ

 実写版『耳をすませば』の残念だったところは2点あります。

一つは、中3の雫がジブリの雫らしさを追い求めすぎていたところです。

 

赤色のワンピースや麦わら帽がどうしてもコスプレに見えて、気になってしまいました。

雫のトレードマークではあるのですが、全シーンそれでなくても良かったのではと思いました。

 

アニメのようなオーバーリアクションが実写版だとウソっぽく見えて、勿体なかったです。

役者さんのせいというより、演出側から要望があったからなのか、、、

アニメの雫を意識し過ぎているように見えました。 

 

 もう一つは、聖司の悩みや葛藤もう少し丁寧に描いてほしかったことです。

夢を実現した人ならではの苦悩と成長の過程があれば、より映画の深みが増したのではないでしょうか。

雫と聖司がともに成長していく姿がもう少し見たかったですね。 

 

耳をすませば実写版の見どころ|まとめ

 実写版『耳をすませば』の見どころと残念だったところについてでした。

正直、観る前は期待値は高くありませんでしたが、観た人の気持ちを明るく前向きにしてくれる良作でした。 

 

ググると酷評も目に入りますが、有名作品の続編かつ実写化映画の定めです。

「これは観なくていいな…」という映画も中にはありますが、『耳をすませば』は観る価値のある映画だと私は思います。

 

 1995年、ジブリ版が公開された時の子どもは今、働き盛りの社会人です。

もしかすると、幼い頃『耳をすませば』に惹かれた世代に向けたエールが込められた映画でもあるのかもしれません。

あなたは子どもの頃にはあった大切な何かを忘れかけていませんか?

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