RADWIMPS正解|合唱の指導ポイント|感動的な演奏を実現するには?

音楽
「音とリズムが取れた後は何を指導したらいいんだろう…」

 合唱を指導する際、演奏の質を上げるために何をどのように教えたらいいか、悩むことはありませんか?

この記事では、聴いている人を感動させる演奏を実現するためのポイントを、RADWIMPS正解を題材として具体的に解説します。

執筆者プロフィール
  • 幼稚園からピアノを習う
  • 高校では、部員100名以上の合唱部で生徒指揮を務める
  • 音大声楽科に入ってから現在まで、18年演奏活動を続けている

 合唱曲を感動的に演奏するための技術的なポイントは2つ。

それは、曲想の表現力と歌詞の伝え方です。

この2点を改善すれば、今より1段階格上の演奏を実現できます。

しかも、発声法のように長期間の鍛錬を必要とせず、すぐに効果を得られます。

では、曲想の表現力と歌詞の伝え方の具体的な改善策をご紹介しましょう。

正解|合唱指導のポイント

曲想をうまく表現するには?

強弱の差をつける

 フォルテ・ピアノ・クレッシェンドなどの強弱記号をうまく表現するには、単純な声の大きさではありません。

ポイントは相対性。

今歌っている部分の強弱だけでなく、その前のフレーズとの差が重要なのです。

たとえば、フォルテをボリューム100で歌ったとしても、その前が90ならあまり変化が聞こえません。

それより、ボリューム50のフォルテであっても、直前が5で演奏できれば効果的な表現になります。

 強弱について、『正解』で特に気をつけたいのはこの部分です。

 このピアノはユニゾン(全員がメロディー)で声のボリュームが出やすいため、注意が必要です。

そして、ピアノを効かせるには、直前の”Ah-”を十分に盛り上げる必要があります。

フレーズの歌い終わりに注意する

 演奏の質の高さは、フレーズ終わり(語尾)の歌い方で決まると言っても過言ではありません。

語尾がしぼんだり雑に切ったりすると、曲の雰囲気が壊れ、聴いている人の集中も離れてしまいます。

 正解はゆったりしたテンポ感でブレスが取りやすい歌いやすい曲です。

しかし、このような曲で陥りやすいのが、息つぎごとにフレーズが切れ切れになってしまうことです。

『正解』のサビ部分です。

「ああ 答えが⤵︎ある問いばかりを⤵︎教わってきたよ⤵︎そのせいだろうか⤵︎」

息つぎの度に語尾がしぼんでしまうと、曲の推進力が失われてしまいます。

マイクで歌っていると機械が余韻を作ってくれますが、アコースティック演奏では語尾まできっちり自己責任です。

フレーズの終わり方が次の歌い出しの勢いに直結することを強く意識しましょう。

私は「矢印上!」を共通の合言葉にし、語尾の歌い方を簡潔に指示できるようにしています。

歌詞をうまく伝えるには?

 正解は、RADWIMPS野田さんが自身の高校時代を思い返して作った詩だけあって、等身大の心に響く歌詞になっています。

聴いている方々にも是非この歌詞を音楽に乗せて届けたいですよね。

歌詞がボヤけてしまいがちな合唱でクリアに聴こえさせるには2つのポイントがあります。

発語のタイミングを揃える

 歌詞を明確に聞こえさせるには、全員の発語するタイミングを揃えることが重要です。

合唱団の中で発語するタイミングがズレると、しっかり発音できていたとして、互いに打ち消し合って聞こえづらくなってしまいます。

発語するタイミングを揃えるには、歌い出しのブレスを合わせなければなりません。

文字通り「息を合わせて演奏する」のです。

子音を長く発語する

 言葉は「子音+母音」で作られています。

「さ」なら"s-a”、「ま」なら"m-a"という具合ですね。

このようにひらがなをローマ字に分解し、子音の部分を長く発語できるよう練習しましょう。

ただし、子音だけを強く言い過ぎないよう注意しなければなりません。

よく「子音をたてる」と言いますが、子音だけ強く発語すると不自然な日本語になり、楽曲の雰囲気を壊しかねません。

また、母音を響かせないと音程が聴こえないため、バランスを取りながら違和感のない範囲で子音を長く発語する必要があります。

上達させるには具体性ある指導が大切

 合唱曲を感動的に演奏するために技術面で特に必要なことは、曲想の表現力と歌詞の伝え方です。

曲想をうまく表現するには、強弱の差フレーズ終わりの歌い方に注意することが大切です。

発語のタイミングを揃え、子音を長く発語することで、歌詞をうまく伝えることができます。

 指導者自身に熱が入ってくると、「気持ちを込めて」など抽象的な指示をしがちですが、できたかどうかを歌った後で評価できない指導は、指導ではないと私は思います。

気持ちを込もった演奏をするには、何をどのようにすればいいか?

具体性のある指導をすることが、責任ある指導者に求められるのです。

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