4歳児は相手の気持ちが分からない?思いやりの心を育てる方法

子育て・家族

 子どもが思いやりに欠ける行動をとった時、親は「自分が同じことされたらどう思う?」などと問いかけ、相手の気持ちを考えさせようとします。

しかし、果たしてこの問いかけは 4歳児に通じているのでしょうか。

4歳児は相手の気持ちを理解することができるのでしょうか。

 

 この記事では、発達心理学の専門家の見識を基に、子どもの思いやりを育てる効果的な方法をまとめています。

4歳児は相手の気持ちが分かる?

 一般的には、4歳から6歳の間に、相手の気持ちを考えたり、行動を予測したりできるようになっていくとされています。

相手の気持ちが分かるかどうかを調べる有名な実験に『サリーとアンの課題』があります。

『サリーとアンの課題』

①部屋に赤と青の2つの箱があります。サリーは赤の箱にボールを入れ、部屋を出ていきました。

②アンは赤の箱から青の箱にボールを移動させました。

③サリーが部屋に戻ってきました。

【問】さて、サリーはどこにボールがあると考えるでしょうか?

 答えは『赤の箱』ですね。

サリーはアンがボールを移動させたことを知らないからです。

正解した人は「ボールは青の箱にあるが、サリーはその事実を知らない」と考えることができます。

つまり、他者の立場に立って物事を考えられるということです。

逆に言うと、人の気持ちを考えられる社会性が育っていない発達段階では、相手の立場に立って考えることができません。

人に迷惑をかけるという概念も理解することができないのです。

 

4歳児に伝わりやすい伝え方

 相手の立場になって考えられる発達段階に達していたとしても、子どもにうまく伝わるかどうかは、大人の伝え方次第です。

4歳児に伝わりやすい具体的なテクニックを3つご紹介します。

話を聞く準備を促す

 話を理解できるかどうか以前に、まずは聞く態勢を整えてあげることが大切です。

話に集中できる環境とタイミングをつくり、名前を呼び、「今から大事な話をするね」と伝えましょう。

話終わった後に「分かった?返事は?」は、親が納得したいだけの無意味な確認です。

 また、話す前に一度ハグしてから話し始めるのも効果的です。

ハグすることで親も自然と優しい気持ちになり、必要以上に言い過ぎなくなります。

「自分がされたら」ではなく、「〇〇がされたら」と話す

 子どもが人を傷つける行動を取った時、「自分がされたら」ではなく、「ママがされたらどう思う?」と問いかけましょう。

人の気持ちを理解する力が定着していない段階でも、「自分の大切なママに嫌なことをするのは、自分が嫌」だから、理解することができます。

正しい行動の代替案を提示する

 子どもが悪いことをした時は、人格ではなく、行動を注意しなければならないのは大前提です。

その上で「〇〇はダメ」ではなく、「△△しようね」「◇◇してくれたら嬉しいな」と正しい行動の代替案を伝えましょう。

子どもはダメだと伝えられても、具体的にどうすればいいか分からないことが多いからです。

相手の立場に立つ力がまだ育っていない段階では、行動を改善できれば良しとすることが大切です。

 

思いやりの心を育てる方法

 思いやりの心は日々の積み重ねで少しずつ育まれるものです。

子どもの成長を促進するために親が心がけるべき行動を5つご紹介します。

子どもの心が動いた時に気持ちを代弁する

 子どもの表情が明るくなった時は「〇〇できて嬉しかったんだね」と、その時の子どもの気持ちに当てはまりそうな言葉をかけましょう。

相手の気持ちを理解するには、自分の感情を言語化できる力が欠かせません。

自分の感情を理解することで、同じように心がある他者の気持ちを考えることができるようになります。

思いやりに欠ける行動に対し、親がどう思ったかを伝える

 子どもが良くない行動をした時は、親がどんな感情になったのか、落ち着いた態度で言葉で伝えましょう。

子どもの良くない言動について、「〇〇されてママは悲しかった」とアサーティブ(自分も相手も大切にする表現)に伝えるのが効果的です。

 子どももプライドがあるので、すぐに謝れないかもしれませんが、謝罪で終わることが絶対条件ではありません。

バツの悪そうな様子をしていたら、やってしまったことに気づき反省している証拠です。

ごめんなさいを言わせることにこだわらず、ハグをして終わりにしてあげましょう。

思いやりに欠ける行動をとった時は「どうして?」と聞く

 子どもが問題行動を起こした時は、「〇〇ちゃんは悪い子ね」などと人格否定するような言葉かけをしてはいけません。

人格を否定せず、気持ちを受け止め、行動を注意するのが鉄則です。

気持ちを受け止めるには、良くない行動に至った子どもなりの理由を十分聞いてあげることです。

子どもの主張が論理的に破綻していたとしても論破・説得してはいけません。

子どもの主張を「〇〇だと思ったんだね」と繰り返し、感情の反射をしてあげましょう。

子どもは「どうして?」を説明する中で自分の感情を整理できます。

次第に落ち着いて親の助言を聞き入れられる状態になれば、良くなかった行動を押さえるようにしましょう。

子どもの優しさに大げさに反応する

 子どもの優しい言葉がけや行動を発見したら、大袈裟な反応をするようにしましょう。

子どもは注目されると嬉しくなり、優しい言動を繰り返すようになります。

親は子どもの優しさにアンテナを張り、褒めるチャンスを逃さないことが大切です。

子ども同士のもめ事に介入しない

 互いにケガさせない限りは、子ども同士のケンカの仲裁に入らずに見守ることを心がけましょう。

対等な関係同士、相手に嫌なことをされることで、やられる人の気持ちを実体験することができます。

親が手を出してトラブルを未然に防ぐと、子どもが成長する機会を奪うことになってしまいます。

 

まとめ ー 伝わらなくても伝え続けたいこと ー

 思いやりの心を育てるには、親が子どもの発達段階を見極め、適切に関わることが欠かせません。

ただ、たとえ伝わらなかったとしても、子どもが人を傷つける行為をした時は、それに対する悲しみや怒りを言葉ではっきりと伝えることは大切だと思います。

もちろん、親は感情的に振る舞ってはいけません。

親が感情を爆発させても、子どもには訳の分からないショックしか残りませんので、あくまで冷静に意図をもって、伝えるべきことを淡々と伝えましょう。

とはいえ、親も普通の人間ですので、いつも理想通りには振る舞えないのは当たり前です。

修行中の身だと心得て、子どもの胸を借りながら、日々人間力を鍛えていきましょう。

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